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土間庭のある家
Works Case#002 A様邸

「育ち盛りの子供が一番遊びたい時期に、騒音を気にせずのびのびとさせてあげたかった」とAさん。パターンを選び土地に合わせてはめていくのではなく自由度の高いプランニングに重きを置いており、建築家に設計してもらうのはおもしろそうで、デザインを重視しつつ高い住宅性能も叶えた建築家との家づくりを選択した。

理想は大きなワンルームの家。子供のライフスタイルの変化にあわせ、空間の役割も変更できる柔軟さが魅力。

「土間庭のある家」

建築家/藤本 誠生
(藤本誠生建築設計事務所)

藤本誠生 写真

【コンセプト】

施主の生まれ育った実家に隣接する土地が計画地となる。いつも慣れ親しんだ場所にまた家族が増える。フットプリントは30坪の2階建の住宅を配置すると余白は残らない。更に西側の前面道路は片側2車線の幹線道路であり、日中は騒音・視線ともに現風景には遮るものが何もない。南側は月極駐車場になり、今後の環境は不透明である。対して、北側には安心出来る実家があり、東側は2階レベルから山脈を望む事が出来る。

そういったロケーションから、まずダイアグラムを構成した。日中騒がしいグランドレベルは夜になると穏やかな静寂へと変化することから、プライベートなエリアは1層目に配置、家族が落ち着いて嗜む場所は高さ方向に距離をとり2層目に配置とした。開放性を求める場所がグランドレベルより上がった事でプライバシーを置き去りにし、四方に開口部を取る事が出来た。日本の風土にしかない四季を家族の歴史として残して行くことが出来る。

更に実家との間には安心感というニュアンスが存在する。庭を配置することで常に景色として居住空間に取り入れる事が出来る。庭を土間とし、屋内空間とすることで1層目と2層目をつなぐ場所となり、庭・テラス・玄関・階段・フリースペースを兼ね、形態はシネマティックに変化する。1番使う場所が庭であることが、生活の中に色や音に景色を加えて豊かな環境になり、空間に余韻を残す。土間庭の余韻を2層目まで途切れないように居間の一部をスキップフロアにし、断面的に繋がりを持たせた。

床を上げることで吹抜をも生成され、スノコ状にすることで開口部からの光が空間に陰影をもたらす。陰影は場所に何故か人懐っこさを感じさせる。深度が心地よさを誘い、木漏れ日が土間庭に更に嫉妬させることだろう。

建築家プロフィール/藤本 誠生
Facade

Facade

ご主人こだわりのネイビーの外観。2階部分には開放感ある大きな窓が配置され、明るさを確保している。

Entrance_1

Entrance_1

いわゆる玄関ホールというものはなく、モルタルの飛び石を設け階段とシューズクローク、1階フロアをつなぐ動線とした。外間上部は格子状の廊下になっており、2階窓からの自然光が土間へと降り注ぐ。

Entrance_2

Entrance_2

モルタルの飛び石が印象的なエントランス部分は大人も子供も不思議とワクワクする空間となっている。

Free space

Free space

床レベルを一段下げた子供が自由に遊ぶフリースペース。将来的に壁を仕切れば子供部屋を増設できる設計となっている。

Bedroom

Bedroom

1階の洗面兼ランドリールームのすぐ横に寝室とクローゼットを配置することで、洗濯をした後そのまま洗濯物を干し、最短の動線で衣類を収納できるプランニングになっている。

Washroom

Washroom

モルタル風のフロアマットに洗練された木目の造作カウンターが印象的な洗面スペース。

Living dining_1

Living dining_1

通るのが楽しくなる格子廊下。1階の視線に配慮しながら2階から光を1階に届けることができる効果も。

Living dining_2

Living dining_2

2階LDKは各方向から光を取り入れることで光あふれる空間に。ワンフロアで見渡せるLDKの一段上がった格子床のスペースは腰掛けたり、子供が自由に遊ぶフリースペースとなっている。

Kitchen_1

Kitchen_1

キッチンはあえて壁付キッチンを選択し、背面に奥行きある造作のカウンターを設置することで料理を最短の動線で配膳することができるキッチンスペース。

Kitchen_2

Kitchen_2

造作のダイニングテーブルの高さを揃えることで配膳や片付けのしやすさにも配慮している。