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内と外の連続間で魅せるリビング
Works Case#004 A様邸

家にはキャンプ道具や釣り、スキーの道具などアウトドア関連の荷物が多く、以前住んでいたアパートでは一室丸々を収納に充てていたそう。そのため1階に大型の玄関収納と広い玄関土間を設置。LDKは十分な広さをとれる2階に配置し、室内の延長として使えるバルコニーを設けました。リビング背面の壁には、あえてバルコニー部分の袖壁と同じ外壁材「MINAMO」を張り、内と外の連続感が演されているのもポイント。

2階はワンルームの大空間ですが、階段がリビングとキッチンの間の程よい緩衝帯になっていたり、構造壁でダイニングスやワークスペースが穏やかに区切られ、変化に富んだ居場所がつくり出され建築家住宅の魅力が詰まったプランニングが魅力。

日が暮れるとテラスを覆う格子から明かりが柔らかく漏れ、2階が行灯のように美しく浮かび上がり、昼間とはまた違う表情を見せてくれます。

「行雲(こううん)の家」

建築家/木内 浩司
(ワーズワースクラフト一級建築士事務所)

木内浩司 写真

【コンセプト】

高台に位置する閑静な新興住宅地。駿河湾からの爽やかな風が流れ、隣接する寺院を囲む樹々が彩っており、その新しい街と家族との関係性を設えていくことが必要だと感じました。そこで一部をくり貫いた構造体とし、格子で閉じることによって、プライバシーを保ちつつも軽やかな印象が得られ、夜には行灯のような役割も担うことで、街に共有された優しい印象を与えてくれることを目指しました。

また、珈琲や食事を愉しみたいというご家族の要望に対し、庭(バルコニー)と一体の空間としつつ、回遊動線や壁の位置を慎重に配することにより、各々の場所から季節の移ろいや雲の濃淡、風の流れを感じていただければ幸いです。家族の笑顔とともに、家もこの新しい街のランドマークになってくれることを願っています。

建築家プロフィール/木内 浩司
Facade

Facade

外観は極めてシンプルな白い箱型フォルムのデザイン。正面に配置したバルコニー部分の木の格子がアクセントとなっていて、昼間は明るくスタイリッシュ。日が暮れると格子から光が柔らかく漏れ、また違った表情を見せてくれる。

Entrance

Entrance

玄関土間部分の壁側には大きな壁面収納を設置。数十足ある靴や、趣味のアウトドア用品や釣り道具などを整理して収納でき、自転車もおけるよう土間部分は奥行きを持たせている。

Kitchen

Kitchen

2階LDKのアイランドキッチンからはリビング・書斎・バルコニーすべての場所が見渡せるが、階段や構造壁などで穏やかに空間が区切られていることで、程よい距離感を感じさせる。

Living dining_1

Living dining_1

リビングスペースの背面の壁部分にあえてバルコニーの袖壁と同じ外壁材「MINAMO」を張り、バルコニーのベンチと室内のカウンターの高さを同じ高さに。内と外に連続感をつくり出す建築家のテクニックだ。

Living dining_2

Living dining_2

中央に設置された鉄骨階段。リビングや書斎とキッチンの緩やかな間仕切りとなっていて、家族と会話しながらもそれぞれの場所で程よい距離感を保つことができる。

Work space

Work space

構造的に必要な壁を書斎とリビングの間仕切りとして使用し、大容量の書棚を造作した。家族を感じながらも集中できるスペースとなっている。

Bedroom

Bedroom

2階のセカンドリビングと寝室も間仕切りなしでつながる。ベッド部分のみあえて床のレベルを上げることで空間に穏やかな変化を与え、物理的に段を上がることで「就寝へのスイッチ」という心理的効果も。3列あるクローゼットの間を通して目覚めたときに、ベッドから山が見えるのが爽快で「朝起きて幸せを感じます。」とご主人。

Free space

Free space

今のところはゆとりのスペースとなっているが、将来2部屋に分割できるつくりになっており可変性を持たせたプランニングとなっている。